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2005年07月13日

●歴史学ってなんだ?

 従軍慰安婦論争について、関心はありましたが、ほとんど内容は知りませんでした。で、この本を読んだら、論争の背景にある今の歴史学の状況が取り上げられていました。構造主義の影響を歴史学も被っている、ということです。

  構造主義は以下のように説明されています。

 ・・・存在する「もの」、その「もの」に与えられる「意味」、そしてその「意味」を指し示す「言葉」、この三者のつながりは恣意的なものにすぎない・・・

 このような考え方によると、同じ史料を手にしても、解釈も、認識も、すべてが恣意的になってしまいます。だから、だれがやっても歴史学の成果は、たくさんあるなかの一つの「物語」でしかなく、したがって、正しい歴史認識という事柄も成り立たなくなるというのです。

 この観点から「従軍慰安婦」(岩波新書)の吉見義和、新自由主義史観派の坂本多加夫、社会学者の上野千鶴子の3人は、以下のように位置付けられます。

・・・この三者の関係を整理すると、日本国民を加害者と考えるか否かについては吉見と上野が坂本と対立し、構造主義の所説を受け容れるか否かという点では上野と坂本が吉見と対決する、という構図になります。(略) 坂本にとっては、歴史学には「国民の物語」を紡ぎ出すという大切な仕事があり、この仕事をするかぎりでは社会の役に立ちます。上野は従軍慰安婦をはじめとする他者の声に謙虚に耳を傾けなければならないと主張しますが、それは、他者のアイデンティティを尊重する姿勢を身につけることに役立つからです。 どちらの立場にとっても、歴史を学ぶことは、とくに集団あるいは個人のアイデンティティにかかわる、とてもアクチュアルな営みです。・・・

 どうなんでしょう。客観的真実は存在しないのであって、事実をどのようにとらえたいということしかないならば、自分の利益になるように、都合のよいように物事はあるようにしたほうがヽ(゚д゚)ノ ええじゃないかと、考えたくなりますわね。

 でも、世の中、全部、ご都合主義じゃ、オレはやっぱりイヤだな。

  この後、この本はこうした状況の中で歴史学は何ができるのかについて展開されていますが、そのあたりには、私の関心は向かなかったので、これくらいにして、おきます。
歴史学ってなんだ?

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